長年眠っていたという、ソニーの8mmビデオデッキ EV-PR2 を久しぶりに使おうとしたら、テープが入らなくなっていた…ということで修理をお受けしました。ソニー機でおなじみの “樹脂割れ” を疑いつつ、内部を分解して原因を探っていくと、やっぱり色々と経年劣化が進んでいました。今回は、テープローディング不良から再生復活までの修理記録をカジュアルにまとめました。
Contents
- EV-PR2の症状と初期チェック
- テープが入らない原因を探る
- カセットコンパートメントの分解とギア割れ修理
- ローディング復活後の新たな問題:強制排出
- ロータリースイッチの接触不良を疑う
- 接点清掃と再組み立て
- EV-PR2が復活!使ってみた印象
- 8mmビデオデッキはまだまだ直せば使えます!
1. EV-PR2の症状と初期チェック
今回の修理はソニーの8mmビデオデッキ EV-PR2。 長年使わずに保管されていたとのことで、久しぶりに電源を入れてみるとテープがうまく入らないという、典型的な不具合が発生していました。
電源は入るものの、テープを挿入してもローディングされず、無理に押し込むと今度は出てこない…。再生ボタンを押すとモーターが一瞬だけ回って止まるという状態です。やはりこういった機械モノは使わないと逆に壊れてしまうんですね。ということで、修理をスタートします。

今回はEV-PR2の修理です

1998年製なので、既に28年ほど経過していますね
2. テープが入らない原因を探る
まずは現状確認からです。コンセントをつなぐとちゃんと電源は入ります。でもテープが一切内部に引き込まれていかない状態です。無理に押し込んでみると、入るには入ったのですが、今度はEJECTボタンを押してもテープが排出されない状況になります。内部にテープが入ったままの状態で再生や早送りのボタンを押してみると、駆動用のモーターは一瞬回る(作動音で分かる)のですが、直ぐに止まってしまうようです。この症状、ソニーのデッキでよくあるのですが、カセットコンパートメント部分の 樹脂ギアの経年劣化による割れ。 今回もその可能性が高いと判断し、まずは内部の状態を確認することにしました。
3. カセットコンパートメントの分解とギア割れ修理
ということで上蓋を外し、まずは内部に取り残されたままのテープを手動で駆動ギアを回して救出。

上蓋を外したところ。テープが内部でスタックしています。黄色部分のギアを手で回すとテープを救出できます
続いてカセットコンパートメント部組を本体から取り外します。ここはネジ3本だけで固定されているので慣れていればすぐに外せます。流石ソニーの修理性は高いですね。

取り外したカセットコンパートメント部組

カセコン裏側。ベルトのテンション調整機構なども搭載されている
丁寧に内部をチェックすると、やはり テープ送り用の樹脂ギアがバネの力に負けてヒビ割れ。 ここはソニーのビデオデッキの泣き所で、この頃の殆どの機種に同じ症状が発生しているみたいです。バネの力がとても強く、接着剤では割れた部分を固定できないので、過去のソニー機の修理と同じく、0.3mmステンレスワイヤーで割れた部分を縛って補強します。

ギア部にひび割れがありますね

0.3mmワイヤーで補強です
幸い、もうひとつの泣き所である、駆動モーター側のウォームギアは割れてませんでした。VHSと比べて小さな8mmテープなので、モーターへの負担も軽く劣化が少なかったのかもしれませんね。

モーター軸に接続されているウォームギアにヒビ割れはないです
4. ローディング復活後の新たな問題:強制排出
補修したカセットコンパートメントを戻して動作確認すると、無事にテープは内部に引き込まれるように。 一歩前進も途中で何かしらの内部エラーが発生しているっぽく、ヘッドにテープが装填される前に動作が止まって、テープが強制排出されてしまう状況に。。。
「まだ完全には直ってないなぁ…」と思いつつ、最初にテープを押し込んだ時はモーターが短時間(というか瞬間的に)しか動いていなかったことを思い出します。 今はそれよりも少しだけ長く動くようになっているので、何かしら改善している気配はあるんですよ。
5. ロータリースイッチの接触不良を疑う
この時代のビデオデッキでモーターの動作を切り替えるのは ロータリースイッチ。 これはロータリーエンコーダーのような仕組みで、回転角度によってモーターの動作を細かく制御しています。アナログ技術の塊みたいな凄い技術ですね。

ロータリースイッチを分解したところ。左側の金属部(黒)と右側の4個の電極部(白)の組み合わせを回転角度により切り替える仕組み。すごい!
ただし、モーターのように高速で接点が擦れるわけではなく、1回の使用で数回転しかしないため、逆に汚れが溜まりやすいのかも。 見た目は真っ黒ではないものの、経年変化、劣化による汚れが付着している様子でした。
6. 接点清掃と再組み立て
ということでロータリースイッチの接点を 無水エタノールで清掃し、 さらにプラ素材を傷めない サンハヤトの接点復活材 を薄く塗布してから回転させて接点と電極をなじませます。
すると、手応えとしてはとてもスムーズに動くようになった感じ。 これは期待できそうですね。
7. EV-PR2が復活!使ってみた印象
再度組み直して動作確認すると、今度はちゃんと再生まで進むようになりました。 この機種は、以前修理した WV-BS2 や WV-TW1 よりもかなり部品点数が少なく、メンテナンスもしやすい印象でした。

ロータリースイッチの位置決めマーク。これのおかけで、ギアの位置を正しく合わせられるんです。なのでサービスマニュアルがなくても組み直しがスムーズなんですよ!

動作確認中。ちゃんと動くようになりました!
8. 8mmビデオデッキはまだまだ直せば使えます!
8mmビデオデッキは既に発売からかなり年月が経っていますが、 樹脂割れや接点不良など、原因が分かれば、まだまだ修理して使える機種が多いです。何せこの ”Hi8” という技術は、アナログビデオ形式としては当時最高の性能を誇っていたので、テープの保存状態さえ良好ならば、今でも結構良い画像が取り出せるんですよ。
このブログを読まれている方は、少なからず修理に興味を持たれている方だと思うので、捨てる前に「直す!」という選択肢も、ぜひ考えてみてください。
※この修理記録はあくまで個人の備忘録です。分解や修理はリスクもあるので、本内容を参考にされる場合は、あくまでも自己責任でお願いします。



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