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落雷サージで電源入らずを修理…アイコムのIC-7610は幸運にも復活?

修理

落雷で突然うんともすんとも言わなくなったIC-7610。メーカー修理も断られ、オーナーさんは半ば絶望…。そんな“落雷ジャンク級”の無線機を、なんとか復活させるべく奮闘した修理記録です。SDR時代の高額無線機は壊れると本当に大変。だからこそ、同じアマチュア無線家として放っておけません。

Contents

  1. 落雷被害の怖さとIC-7610修理への挑戦
  2. 電源が入らない原因を追う
  3. レギュレータ周りの徹底チェック
  4. 電源制御ライン(PWRS)の異常を発見
  5. PA基板裏の“怪しいシミ”と断線箇所の特定
  6. 修復後の動作確認と復活
  7. まとめ:落雷対策は本当に大事

1. 落雷被害の怖さとIC-7610修理への挑戦

アマチュア無線をやっていると、避けて通れないのが“落雷被害”。アンテナに直撃しなくても、近所の電柱に落ちただけで誘導雷が入り込み、アンテナ回路や電源ラインを一気に破壊してしまうことがあります。 最近の無線機はSDR化で高性能&高額化しているので、メーカーも落雷品はほぼ修理NG。火災保険で対応できる場合以外は、新品を買った方が安いレベルです。

そんな中、今回は メーカー修理拒否のIC-7610 をオーナーさんから託されました。気持ちは痛いほど分かるし、なんとかしてあげたい…ということで修理に挑戦です。

外観は非常に綺麗です。これがジャンクになってしまうのは勿体ない

2. 電源が入らない原因を追う

まずは症状確認。 「電源がまったく入らない」とのことでしたが、実際にDC電源をつないでも完全に無反応。 早速上下カバーを外して内部のキバンをくまなくチェック。幸いにも焦げ跡や破損らしい痕跡は目視では確認できないレベルできれいな状態です。これは逆に期待が持てます。

PAキバンとAT(アンテナチューナー)キバン。綺麗な状態です

メインキバン。こちらも目視で確認できる損傷はないです

3. レギュレータ周りの徹底チェック

IC-7610は最も電力を消費するPA基板に外部からのDC13.8Vが入り、そこからメイン基板へ電源が渡っていく構造。 ただ、電源がOnになったときにメイン基板のCPUから送られてくる PWRS(3.3V制御ライン) が上手く伝わっておらず、13.8Vがメインキバンに届いていない様子。

メインキバン。各種電圧を作り出すレギュレータは左側上下にあるシールド板の下にある

試しに仮に乾電池で3Vを作りPWRSに入れてみると、電源は入らないものの幾つかのリレーが動き、ファンも回転。これは良い兆候! メインキバンに13.8Vが届く様になったので、3.3Vや5Vラインも出る様になった。またCPUや周辺のICもほんのり温かくなり、部分的に動作しているっぽい。

PWRSラインに電池の3Vラインをつないでみるの図

つまり、レギュレータのいくつかは生きているということ。ならばということで、ノイズ対策でレギュレータを丁寧に覆っているシールド板を外しながら各レギュレータからの電圧を徹底チェックしましたが、チェックできる範囲はどれも正常。

4. 電源制御ライン(PWRS)の異常を発見

されば今度は何故電源が入らないかの確認に移ります。電源スイッチは正面のディスプレイユニットに搭載されていて、このスイッチが押されるとPWRKという信号線で、ルネサスのR7S721001VCBGに情報を送ります。そしてこのルネサスのデバイスからお返しとしてPWRS信号をPAキバンに送るのですが、PWRK信号は来ているのにPWRS信号が出せていない・・・片側通行ですね。

CPUが死んでいたら終わりですが、まだ望みはあるのでPA基板を外して再調査。

【修復前】

上側のチップ抵抗2個のラインがPWRS信号の通過点で、あやしい。ちなみにレギュレータの汚いハンダは私が外部電池を接続する際にいぢった跡です。我ながらハンダ付けが下手・・・

5. PA基板裏の“怪しいシミ”と断線箇所の特定

するとPA基板の裏側、ちょうどPWRSライン付近裏側に 半径5mmほどの薄いシミのような跡 を発見。 どう見ても過電流が流れた痕跡ではないかと。

黄色丸内に不自然なシミ発見!

多層基板なので内部パターンが死んでいたら厄介ですが、PWRSラインをもう一度しっかり確認すると、どうも途中で信号が途切れていて、13.6Vを供給するQ431を動作させられていないことが分かりました。丁度PAキバンのR433(1KΩ)の真裏付近です。

ここを丁寧にハンダ修復したところ…

【修復後】

上側のチップ抵抗のラインをハンダ修復。下側がQ431

6. 修復後の動作確認と復活

なんと、電源が入りました! やった!オーナーさんのコールサインも表示され、無事起動。 短時間ですが、受信・送信・AT動作など一通りチェックしても問題なし。恐らく雷によるサージ電流で、PAキバン上のPWRSラインのパターンが一時的に断線してしまっていたんですかね。

無事に電源が入りました!

念のため1日通電して再発がなければ修理完了です。この機種で良く見かけるバックアップ用電池の消耗は、1日通電後に3V台まで充電により回復しているので、交換の必要はなしと判断しました。(メーカーによると2日通電でフル充電になるらしい)

7. まとめ:落雷対策は本当に大事

今回は本当に運がよく何とか修理できましたが、ふつう落雷品は複数箇所が同時多発的に壊れていることが多く、ほとんどが“お手上げ”案件。 アマチュア無線家の皆さん、雷予報が出たら アンテナも電源も全部外す を徹底してください。 ほんの数分の外出でも被害に遭うこともあります。

ラジオ日経第2を聞きながら、1日通電チェック中。いやー、高級機は良いですね~。価格なりの理由がそこにはあります

あと今回思ったのは、メーカーに修理を依頼しても落雷品と判断されると、一切何も修理行為を行なってくれないんですよね。今回の個体もキバン同士を接続するフレキケーブルやキバンの固定ネジなども、一切触った痕跡はなく、ほぼ完全まっさらな状態でした。

ユーザー側の立場としては、今回の様に少しでも努力してくれれば、直る可能性がある個体も少なからず存在すると思うのですが、やはり全機能に対して修理後の保障が出来ないからなんでしょうかねぇ。

※アマチュア無線の運用には、アマチュア無線技士の資格と免許状が必要です。電波法に則っての運用をお願いします。

※この修理記録はあくまで個人の備忘録です。分解や修理は一定のリスクを伴いますので、本内容を参考にされる場合は、あくまでも自己責任でお願いします。

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