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45年選手の名門パワーアンプ ― Yamaha B-5をじっくり再整備

修理

秋の夜長にぴったりな充実した音楽時間を支えてくれる名門ヤマハのヴィンテージアンプ、Yamaha B-5。 今回は左右の音量ズレと片chのみハムノイズという2つの不具合を抱えた超ベテラン機を、じっくり丁寧に再整備していきます。

Contents

  1. 秋の夜長とB-5との再会
  2. まずは動作チェック:重厚でシックなデザイン
  3. 左右の音量ズレとハムノイズの原因探し
  4. レベル調整ボリュームの分解洗浄
  5. 突然のヒューズ断!原因はどこ?
  6. 左右キバンの入れ替えで故障個所を特定
  7. 初段トランジスタの故障を発見
  8. 互換トランジスタの選定とペア組み
  9. パワートランジスタ周りの点検と再ハンダ
  10. 見落としていた電解コンデンサの交換
  11. 放熱板の接着剤劣化を修復
  12. トランジスタ交換後の試運転
  13. 修理完了!50年選手のアンプが蘇る

1. 秋の夜長とB-5との再会

秋の夜は音楽がよく似合いますよね。最近の日本の気候だと春秋が相当短くなって、暑いか寒い日が多くなっていますが、だからこそ短い秋の夜長はお好みの音楽と一緒に過ごしたいですよね。そんな季節に、45年以上前のパワーアンプ「Yamaha B-5」が再びYo工房にやってきました。数年前にノイズが出るということで、電解コンデンサを総交換した個体ですが、今回は左右の音量ズレと左chのハムノイズが主訴です。

前回、電解コンデンサとスイッチ照明をLEDに交換しています

2. まずは動作チェック:重厚でシックなデザイン

このアンプ、ヒートシンクがとても大きくて、総重量は何と21kg!作業机に持ち上げるだけで一仕事です。また電源を入れると家の照明が一瞬暗くなるほどの消費電力(定格消費電力560W。恐らく突入電流は1KWクラス)。当時の先端技術をふんだんに取り入れた、その設計思想で出力240W+240W(8Ω)、パワートランジスタも何と!12個搭載という、いまでは貴重なゴリゴリのハイパワー仕様です。

中央のトランス、左右のヒートシンクの大きさが、存在感を醸し出しています

3. 左右の音量ズレとハムノイズの原因探し

音は透き通っていてとても気持ちの良い音を出すのですが、やはり左chはハムノイズが常に乗っています。音量を変えてもノイズレベルは変化しないので、だいぶ上流側の故障の様ですね。また音量が安定しないのは背面のレベル調整ボリュームのガリ(つまりは接触不良)が怪しそうです。

4. レベル調整ボリュームの分解洗浄

まずは原因が推測できている、左右のレベル調整用ボリュームのメンテから。

後部にある、レベル調整用ボリューム

本体の上下蓋と左右のヒートシンクを外すと小さなボリューム基板が登場。

バランスではなく、左右独立した調整が可能です

基板から取り外して分解してみると汚れは軽度レベルで、これならば接点洗浄でいけそうな予感。定番のサンハヤトの接点洗浄剤+復活剤の黄金コンビの力を借りてガリは無事除去。

取り外してみました

汚れと摩耗は軽度でした

このアンプはパワーアンプなので、音量調整は前段のプリアンプで行うのが普通。なのでレベル調整用ボリュームは使用頻度も低く、長年同じ位置で止まっていたので接点が接触不良を起こしたんでしょうね。まあ、45年以上前のアンプなので、当たり前といえば当たり前の症状でした。

サンハヤト 接点洗浄剤 ニューリレークリーナー RC-S201

サンハヤト ニューポリコールキング PJR-S120 120ml

5. 突然のヒューズ断!原因はどこ?

次は左chハムノイズの原因を探ります。でもここで問題発生。ボリューム清掃後の試聴時にちょっとした振動を与えたところ、盛大にヒューズが飛びました。それも2個同時に。調べてみると、AC100Vラインの1Aのヒューズが左右ともに切断しておりました。

この2本が前触れなく飛びました

原因が分からなかったので、恐る恐るヒューズ交換をして様子を見たところ、あっさりと電源が復活し、何事もなかった様に動き出しました。でもヒューズ断の原因が分かっていないので、ここから先も注意しながら作業を進めていきます。

6. 左右キバンの入れ替えで故障個所を特定

B-5はキバンがディスクリート構成になっていて、左右とも全く同じ回路構成になっています。こういう構成だと、どのキバンに不具合があるのか、左右を交換して確認してみれば良いので、比較的故障個所の同定がやりやすいんですよ。ということで、1枚ずつ左右を入れ替えて確認をしてゆくと、写真のキバンに不具合があることが分かりました。幸いにもパワーアンプのトランジスタ周りでの故障ではなさそうなので、少し安心しました。流石に年代が古すぎるので、パワートランジスタが故障していると、代替部品の入手が非常に困難なんですよね。

左が故障、右は正常。同じ回路なのに鏡像で左右の2枚キバンを起こしているので、リッチな設計ですね

7. 初段トランジスタの故障を発見

故障していると思われるキバンを目視で確認していきます。でも明らかに焦げたりしておかしそうな部品はないですね。次は故障しやすそうなダイオード、トランジスタ、抵抗値が変わっていないか、などを1個、1個、確認していきます。ちなにみ電解コンデンサは前回交換済みなので、当然ですが問題なしです。テスターで順番に確認していくと、ひとつのトランジスタが怪しい値を示しています。キバンから取り外して再度確認をしてみると、これ、完全に壊れていますね。

こいつが怪しい!

完全に壊れていますね

2SA970GRという、低周波用のトランジスタで、アンプなどの初段低雑音増幅用として用いられているものなので、ここが壊れていると音量に関係なく、一定のハムノイズが発生してしてしまうのも納得ですね。あとこのトランジスタ、アンプ回路ではプッシュプル回路でコンプリとして使われる2SC2240GRと対になっているので、こちらも一緒に交換します。

8. 互換トランジスタの選定とペア組み

この2種類のトランジスタ、今の時代マッチドペアで売っている訳もなく、また怪しい互換品も出回っている様なので、信頼できるお店から10個ずつほど購入しました。hFEを計測して、出来るだけ近い値のものとペアとするためには、これぐらいの数が必要なんですよね。古いアンプはここが地味に大事です。

選別品です

9. パワートランジスタ周りの点検と再ハンダ

片chで6個ものパワートランジスタがあるので、ここはとても発熱が大きくハンダ劣化が起きやすい部分でもあります。

6個のパワートランジスタは背面の放熱板に取り付けられています

なので点検も兼ねて取り外して再ハンダしておきます。トランジスタ自体のhFEはいずれも80前後でまだまだ元気です。

正常ですね

10. 見落としていた電解コンデンサの交換

あと前回全ての電解コンデンサを交換したつもりだったのですが、影にかくれて見えなかった電解コンデンサを左右で1個ずつ発見しました。取り外して状態を確認したのですが、80V 1μFとかなり高電圧用だからか、ほぼ劣化はなかったです。でもこの2個だけ55年選手を使用するのも将来が心配になるので、こちらも交換しておきます。

これも交換して万全を期します

交換後です(ビフォー・アフターで写真が左右違いなのはお許しを)

11. 放熱板の接着剤劣化を修復

もうひとつ気になったのが、キバン上に配置されている発熱が大きそうなトランジスタ用の放熱板で、グラグラです。振動などでぐらつくことにより、ハンダクラックなどが起きない様に、キバンに接着されているのですが、この接着剤が劣化して全く接着剤として機能していませんでした。なのでこちらもシリコン系接着剤で固定しておきます。

左:ビフォー
右:アフター

シリコン系接着剤で固定です

12. トランジスタ交換後の試運転

ここまで修理が完了したので、電源を入れられる状況になるまで仮組して、スイッチオン!ばっちり普通に動作する様になりました。気になっていた左chのハムノイズも消え、また音量が途中で変わったりするような不安定さもなくなりました。レベル調整用のボリュームもガリはなく、今回の不具合は全て解消できた様です。あとは、何故ヒューズが飛んだのかですが、数時間の試運転にも関わらず、一切不具合は出なかったので、この故障したトランジスタ関連で一時的に起きたものと推測します。

13. 修理完了!50年選手のアンプが蘇る

更に最後にもう一度数時間動作確認をしましたが、特に問題はなさそうなので、これで今回の修理は完了とします。

黒一色の落ち着いたデザインは現代のインテリアにもよく馴染みます。もうすぐ50年を迎える名機ですが、まだまだ現役で頑張れそうです。ぜひ大切に使ってあげてください。

シックなデザインで良いですね!

※この修理記録はあくまで個人の備忘録です。分解や修理はリスクもあるので、本内容を参考にされる場合は、あくまでも自己責任でお願いします。

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